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インタビュー

​Sun And Dear (サンディア)

ーもっとたくさんの人に、気軽に国際貢献してほしいー

前回に引き続き、今回の記事も日本からお届けします。

Sun And Dear(以下サンディア)は東南アジアの子どもたちが、生まれた場所や環境に関係なく幸せになる社会を作るという目標を掲げ活動している、東南アジア孤児支援のNGO団体です。

代表理事である和野佳祐さんは大学生時代にタイで住み込みのボランティア活動を行い、そこで貧困を解決したいという思いを抱くようになりました。その思いを実現させるため、2015年にサンディアを立ち上げました。

本日は、代表理事の和野佳祐さんにお話を伺いました。

Q.正式な活動はいつから始められたのですか?

A.2015年からです。Sun And Dearという名前をつけて、3人のメンバーで非公式ながら立ち上げました。私自身の仕事が忙しく、2015年は際立った活動はできなかったので、2016年から本格的に始動しました。

 

Q. 団体立ち上げのきっかけとも言える施設の「希望の家」ですが、現在も何か活動を行っているのでしょうか?

A. 定期的に通っています。その中でイベントの手伝いや子ども達と一緒に遊んだりするなど、子供達の心のケアを中心にお手伝いさせて頂いています。運営費不足が課題としてあるため、寄付金送付も行っています。

 

*希望の家

代表理事である和野さんが大学時代に住み込みで行ったボランティア団体。1998年にタイのノンタブリー県にある現地団体「聖マーティン財団」によって設立された児童養護施設で、施設周辺のスラム街出身の子どもたちが集まって暮らしています。現在は男女幼児~中学生ぐらいまでの70名の子どもたちが生活しており、これまでに延べ800名以上の子どもたちの生活支援を行っています。

(希望の家についてのさらに詳しい情報はこちら

 

 

Q.主催されている活動の一つである Meetup Cafeを始めようと思ったきっかけは何ですか?またその影響を感じたことはありますか?

A. 学生に国際協力の一歩を踏み出してほしいという想いがあり、Meetup Cafeを始めようと思いました。これが貧困解決の一歩になってくれたらとも思っています。毎回貧困に関する違ったテーマを話し合う場を設けることにより、サンディアの活動に対する理解も得ようとしています。自分ができる国際協力の形について意見交換をすることによって参加者同士意識を高め合っていけていると実感しています。

 

*Meetup Cafe

サンディアが主催するイベントの一つです。学生から社会人の方まで幅広い参加者が、国際問題の現状について知り、グループワークを通じて国際協力について自由に意見を交換できる場となっています。

 

 

Q. 新しい取り組みはどのように始めるのでしょうか?

A. 私が主体となり、メンバーの中でやりたいことを出し合いながら新規事業へと発展していきます。最近だと、団体を続けていくためには経済的活動をしていくことも不可欠であると感じ、新規事業を始めようとしています。ですが、新規事業と言っても華やかなことばかりではなく、地道に物販の提携先を探すなど「やってダメなら手段を変えていけばいい」というスタンスで取り組んでいます。事業の具体例として、ランパン県の山岳民族が作ったコーヒー豆や、ノンカイ県の田舎にいる女性が作った手工芸品を日本で売るといった物販事業を始めようとしています。

 

Q.お金はどのように集めていますか?

A.毎月定額寄付をしてくださる方がいらっしゃいます。また、口座に直接寄付をいただいたり、Meetup Cafeなどのイベントの後で寄付をして頂いたりもします。

 

Q. 集められた寄付金は全て希望の家に寄付されるのですか?

A. 物販の売上はそれぞれの現地の団体と自分たちの活動費に充てられています。集められた寄付金も同様に、希望の家への活動費と自分たちの活動費に充てられています。

Q.組織作りで苦労したことは何ですか?

A.「仕事の頼み方」と「想いの合わせ方」に苦労しました。仕事の頼み方に関しては、本業が別にある多忙な人には、団体内SNSで連絡し、都合のつくタイミングで確認してもらうといった工夫が必要でした。また、想いの合わせ方に関しては、1.“希望の家“を訪れたことがない人 2.幅広すぎる活動内容に不満を持つ人 3.立ち上げ期特有の雰囲気が合わない人と信頼関係を築き、まとまりを生む時間が必要でした。

 

Q. 活動とは別に本業がある方ばかりと伺ったのですが、その上での大変さは何ですか?

A. それぞれ他にしている事がある中で、ミーティングを行うタイミングが合わないのが非常に大変です。現在も週一回のペースでミーティングを行っておりますが、結局時間が合わないなどして、うまくいかないことが多々あります。そこで、JANDIという団体内SNSを活用するなどして、それぞれのタスクの進捗をしながらリモート会議を行うなど柔軟に対応できるようにしています。

Q.現在NGOであるサンディアですが、なぜNPOを目指しているのですか?

A. NPOになることでいろいろなメリットがあります。1つ目は当然ながら社会的信頼度が増すことです。法人格があれば、それを取得できる水準に達した団体である、といった外部向けの証明になります。2つ目に、近年充実してきたNPO向けのサービスを利用できることです。Google for Adgrantsやペライチなど、NPOに特化したサービス内容や既存サービスをNPO向けの利用料金で利用できるプログラムを提供しているところが多く、そうしたものを気軽に団体に導入できることはメリットだと思っています。

Q.ビジネスとNPOにおいてできること、できないことについてどう思っていますか?

A.ビジネスではどうしても「利益の分配を求められること」から最終的には逃れられないのではないか、と思っています。規模が大きい分、影響力も大きい活動ができるかもしれないですが。一方で、NPOの本質は「社会貢献」です。泥臭く、「東南アジアの子どもたちが生まれた場所や環境に関係なく幸せになる社会をつくる」というビジョンにしがみつくには、NPOの方がやりやすいのではないかと思っています。しかし、給料は一般企業より低く、優秀な人材が集まらないのが今の課題だと思っています。

代表の和野さん
本業の仕事の後にサンディアの仕事に取り組むそうです

物販商品 (コーヒーと手工芸品)

Bruno Coffee:山岳民族を支援する団体と提携しており、売上の一部は子どもたちの奨学金になります。
手工芸品:シングルマザー支援事業団体と提携しており、売上の一部は彼女たちの生活費の一部になります。

左:和野さん,右:THINKメンバー佐々木
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Q. 活動を通して学んだことは何ですか?

A. いろいろな活動をする中でたくさんのこと知らないといけないので、常に新しい事を学び続けなければいけません。NPO法、IT、貿易についてなどがそれに当たります。例えば、いくら規模が小さくても貿易は経済活動なので、売上に対しての課税等についての知識を持っていないと、活動を行う上で支障となってきます。

 

Q. 活動をしていてよかったと思う瞬間はいつですか?

A. 一つは「サンディアからの寄付金です」と言って子供達に寄付金を持って行くことができた時です。もう一つはサンディアに関わっているメンバーが「こういうことをしてみたい!!」、「活動をしていて楽しい」と言ってくれた時です。

 

Q.活動する上で、大切にしていることは何ですか?

A.「嘘をつかないこと」と「柔軟にやること」です。希望の家の支援情報やMeetup Caféの題材を仕入れる際の情報は、できるだけ直接聞いた内容をそのまま伝えるようにしています。また、よくある「NGOだからお金を稼いでいけない」というのは実は間違いで、収益事業で得た収益はNGOの事業に充てれば問題ありません。そういった先入観にとらわれず、持続可能な活動を実現するため、枠にとらわれない取り組みをしています(物販など)。

Q.メンバーの加入はどのようにおこなっていますか?

A.「ACTiVo(アクティボ)」という、国際協力に関わりたい人向けのデータベースサイトを活用しています。仕事内容は、その人の加入時期によって異なります。しかし、「何か成し遂げたい想いをもってる人」に対しては、その希望を優先して仕事を割り振ります。また、「何をしたいか定まってはいないが、力になりたい人」に対しては、私たちが目標を設定します。

 

Q.現在、ボランティアの受け入れはしていますか?

A.はい、学生を中心に募集をかけています。業務内容としては、新規事業立ち上げ・販売促進・効果測定までを一貫して経験してもらうことになります。無給のボランティアにはなってしまうのですが、「主体的に、熱意をもって活動できる方」を探しています。期間や時間は要相談です。

 

Q.今後、成し遂げたい目標はありますか?

A.2030年までに、カンボジア・ミャンマー・バングラデシュでも支援を展開したいです。これら3カ国が、東南アジアの中で最も貧困に苦しんでいる国だと、最新のIMFの調査によって知り、活動を広げたいと考えました。また、現在は集めたお金を希望の家に送るかたちで支援を届けていますが、最終的には希望の家周辺、または別地域で自分たちの裁量で経済支援活動ができるようになりたいです。というのも、私たちは、「子どもの問題は全て大人に原因がある」と考えており、その大人たちには「雇用の創出」というアプローチが適切ではないかと思うからです。「国際協力とビジネスが融合する“新しいビジネス”」、いわゆる一つの「ソーシャルビジネス」ですが、それの確立を目論んで立ち上げようとしているのが物販事業となります。

 


Q .将来の描く道はなんですか?
A.サンディアのビジョン達成と共にNPO業界の成長に貢献したいと思っています。「多様性は進化を生む」と思っているからこそ、色々な人に携わってもらえるべくもっと魅力的な業界にしていきたいです。

 

 

<まとめ>

  当日は予定していた取材時間を超えて、話に耽っていました。タイから帰国した時に「今まで当たり前だった日本が違って見えた」というお話にとても共感しました。自分の国、もっと言えば今の生活圏を一歩踏み出すと「当たり前じゃない」状況があると思います。そういう部分に少しでも気づいてもらいたいという想いで、私たちは取材活動を続け発信しています。

  さて、取材を通じ、和野さんが仰っていた「国際協力のハードルを低くしたい」という言葉が強く印象に残っています。サンディアさんは、テレワークシステムを利用するなど、「働きながらできる国際協力」を率先して行っています。働き方や金銭面で、仕事として国際協力に携わることに不安を覚える人もいると思います。サンディアさんのような取り組みが普及し、もっと「国際協力」が身近になることで、一人一人の意識の改善につながり、一つの支援の形になるのではないかと思いました。

 現在、私たちの団体も、タイ支部と日本支部と物理的な距離があり、タスク管理の面ではまだまだ改善の余地があります。サンディアさんを見習い、新しいツールを取り入れ、継続的な運営につなげたいと思います。また、商品をタイから取り寄せ販売する等、枠に囚われず、様々な挑戦を行う姿勢に刺激を受けました。自分たちの運営のあり方、活動内容を改めて問い直す機会となりました。改めまして、本当にありがとうございました。

 

<ボランティアの募集>

学生:主体的に、熱意をもって活動できる方

新規事業立ち上げから、販促活動、効果測定までPDCA(Plan, Do, Check, Action)をまわす経験ができるそうです!

 

<オリジナルブランド「swai」>

インタビュー内にあった物販事業が、2017年5月にオリジナルブランド「swai」としてオープンしました。

売り上げは活動費、現地への寄付に使われます。ご興味のある方ぜひご確認ください!

 

Sun And Dear オフィシャルショップサイト : http://shop.sunanddear.org/

2017年3月23

佐々木

​板屋, 笹山, 鈴木, 宮川

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