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タイ国内で最大規模であるNGO団体、ドゥアン・プラティープ財団(以下プラティープ財団)。プラティープ財団はバンコクにあるクロントイスラムに事務所を構え、貧困地域の子どもの教育支援や生活環境整備、災害支援など幅広く活動されています。


今回はプラティープ財団の事務所に訪問させて頂き、日本人スタッフである硯山昌寛さんにお話を伺いました。

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どうしてタイでボランティアを始められたのですか?

    私は千葉県にある天台宗のお寺の住職をしていました。天台宗の活動の一貫としてインドやニューヨーク、ハワイなどで奉仕活動に参加した後、同様に関わりのあったプラティープ財団で日本人スタッフとして8年ほど前から働いています。現在は私の他にも4人ほどの日本人スタッフが常駐しており、タイ人スタッフと共にクロントイスラムの問題解決に向けた活動を支援しています。


 

現在、スラムの抱える問題に対してどういった活動を行っているのか教えてください

 クロントイスラム内には様々な問題が沢山ありますが、その中で最も深刻な問題は立ち退き問題だと思います。近年バンコクでは都市計画が急速に進んでおり、タイ政府は経済発展のために多くの土地を確保しようとしています。クロントイスラムが形成されている土地は国が所有する土地であり、スラムの住人は政府から立ち退くことを強く要求されているのです。クロントイスラムに住む人々は、バンコク内で働き生計を立てているため、今住んでいる地域に住めなくなってしまえば、さらに苦しい状況に追い込まれてしまいます。これに対しプラティープ財団は、住民と政府の仲介に入り、スラムの住民の生活を守るために政府との交渉を継続して行っています。スラムが消滅した際に、住民が必要最低限の生活を送ることのできる環境を政府に整えてもらうための交渉です。現在タイ政府は、スラムの住民に対し他の地域に建設予定のアパートに移住するように呼びかけています。しかし、ここでさらなる問題が生じており、スラムには住民登録のされていない住民が多数存在するのです。住民登録がされていない住民は、もちろん政府の提供する住居には住むことができません。住民が団結して住民登録を完了できるよう、プラティープ団体が財団はコミュニティ形成を手助けし、活動の促進をしています。この問題はいまだに解決されておらず、住民と財団が協力して活動しています。

タイでボランティア活動をする上で大変だと感じることはありますか?

    現在財団では、100人のタイ人スタッフと5人の日本人スタッフが共に働いています。タイ人が大半を占めているので、仕事のやり方や文化の違いなどでの違いは少なからずあります。特に時間への価値観が日本人とは違い、効率の良くない仕事の進め方に戸惑うことも多いです。

財団スタッフ・ボランティアの募集状況

    現在財団では日本人及び学生のボランティアは募集していません。財団の活動方針上、今後の活動を長期的に支援してくれるタイ人スタッフ人材を求めています。財団が求めているのは、若いタイ人スタッフです。賃金の問題から、能力のある若者は財団で働くことを選ばないのです。そのため、後継者の募集や教育が重要課題となっています。

 

これからのタイ社会と活動

    タイは現在、他の先進国に引けを取らないスピードで成長しています。しかしその一方で、国内の経済格差は広がり続けています。国内の高所得者の人々は自身の利益を追求すればするほど収入を得られますが、その分貧困地域に暮らす人々との差は広がっていくばかりです。特に都市部と農村部の経済格差は歴然としており、農村地域の雇用と収入を安定させることで、都市スラムの拡大を大幅に緩和させることができると考えられます。タイ政府はクロントイスラムをはじめとした社会的低層、貧困層の問題にも目を向け、互いに共存していく社会を実現していくことが大切だと思います。タイ国内の全ての人々の意識が変われば、タイ全土は今まで以上に成長、繁栄していくでしょう。そして財団メンバーの一員として国と住民を繋ぎ、共に協力し見届けることができれば嬉しい限りです。


 

<まとめ>

    スラムの問題や、それに対しての取り組みについてお話しを伺いましたが、様々な形の「教育」を実践されていることが印象的でした。子ども達の教育支援から始まり、災害の復興支援のための人材派遣、スラムの青少年育成など、物質の支援だけでなく、人材の育成に力を入れていると感じました。そうすることでスラムのコミュニティ形成を促進し、住民が主体となって生活の基礎を築いていました。「教育」が人々の生活を支える、というプラティープ財団さんの信念が住民に伝わり、形になっていることがすごく伝わってきました。実際に訪問することでお話しを聞くことができ、現状を知るという面で大変貴重な経験になりました。

 

インタビューに快く協力して下さったドゥアン・プラティープ財団様、硯山様に厚く御礼申し上げます。

ドゥアン・プラテープ財団 団体HP:http://www.dpf.or.th/jp/

​Facebook:https://ja-jp.facebook.com/jpdpforth/

​インタビュー

​ドゥアン・プラティープ財団

2017年2月8日

​板屋, 榮, 佐藤, 島村, 鈴木, 平塚

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